静電気とは

「静電気」は、私たちの暮らしに身近な存在です。衣服を脱いだり、エレベータのボタンを触ったりしたときに、パチッと音がして痛みを感じる。
そんな経験を誰もが一度はしたことがあるでしょう。
性別・年齢を問わず、多くの人が不快に感じるこのやっかいな「静電気」
しかし、乾燥する冬でも、静電気に悩まされる人とそうでない人がいます。
この違いはなぜ生じるのでしょうか。

静電気をためやすいのは、肌の水分量が少ない乾燥肌の人です。皮膚は表皮、真皮、皮下組織の3層に分かれています。
表皮の一番外側には、レンガの塀のように細胞がぎっしり積み重なった「角層」という層があります。
細胞の間を埋めているのは、主に「セラミド」という脂肪です。セラミドは水分を吸着する役割も果たしており、角層には水分が蓄えられています。
そして、皮膚の最も外側には、汗と皮脂が混ざり合ってできた「皮脂膜」という薄い膜があり、皮膚から水分が失われないように、全身を覆っています。
セラミドと皮脂膜によって、肌の水分量は保たれています。
しかし、加齢などさまざまな理由で皮脂膜が少なくなると、肌の水分が蒸発しやすくなり、セラミドに蓄えられた水分も失われてしまいます。
この状態が乾燥肌です。

水分がしっかり蓄えられた健康な肌の場合、静電気は肌の水分を通して日頃から少しずつ放電されるため、静電気で痛みを感じることはあまりありません。
一方、乾燥肌の人の場合は、水分量が少ないため、静電気が放電されにくく、体にたまりやすくなっています。
すると、金属などを触ったときにいっぺんに放電してしまい、「バチッ」と痛みを感じるのです。

今日から始める静電気対策

静電気は乾燥によって生じやすくなるので、静電気をためにくい体質にするためには、乾燥対策が大切です。
今日から始められる静電気対策を5つ紹介します。

●部屋の加湿をする

空気中の水分が増えれば、静電気が生じても自然に放電しやすくなります。
加湿器を使用したり、洗濯物を室内に干したり、部屋に水の入ったコップを置いたりして、部屋の加湿を心がけましょう。

●肌の保湿をする

不足している水分を補い、肌を保護するためにも、毎日保湿剤を塗るようにしましょう。
手足や首まわりなどの外気に触れやすい部分だけでなく、洋服に隠れているお腹まわりや腰なども乾燥しやすいため、忘れずに塗って、全身を保湿します。
特に、お風呂上がりがお勧めです。
保湿剤は、薬局などで市販されている乳液やクリームでOKです。

●洗いすぎない

清潔にしようとするあまり、毎日ごしごし体を洗ってしまうと、皮脂膜まで落としてしまうことになり、かえって肌の乾燥を招いてしまいます。
汗をかきやすい部分や汚れやすい部分以外は、毎日石鹸をつけて洗わなくても問題ありません。
シャワーで洗い流すだけでも汚れを十分落とすことができます。
また、石鹸を使う場合も、ナイロンタオルなどでこするのではなく、手でやさしく洗うようにしましょう。

●湯船の温度は40℃以下に

熱いお湯につかると、皮膚を守っている皮脂膜やセラミドを溶かしてしまい、乾燥肌の原因になります。
湯船の温度は40℃ぐらいまでを目安にしましょう。
また、長時間お湯につかるのも、同じ理由で禁物です。

●天然繊維の衣服を身に着ける

綿などの天然繊維の衣服を身に着けるとよいでしょう。
天然繊維は吸湿性が高く水分を含みやすいため、静電気が自然と放電されやすくなります。
一方、化学繊維は吸湿性が低いため、電気を逃さず、静電気がたまりやすくなってしまいます。
肌への刺激になるため、避けたほうがよいでしょう。

まとめ

静電気は不快なものですが、静電気に悩まされているということは、それだけ肌の乾燥が進んでいるサインでもあります。
今回紹介した静電気対策は、乾燥肌対策にも有効ですので、今日から早速試してみてはいかがでしょうか。